2018年2月20日火曜日

おすすめ本 その1 闇ヤキモノ教習(仮) 

 これから教室に入ってなるたけ短期間にのし上がる(だからナニソレ)には、週に何回何時間かは知りませんがそれだけじゃあ足りません。土や機材に触れなくともレベルアップは可能!それが人類の編み出した英知の集積「本」
本こそが作業場以外でも貴方を高みに導いてくれるのです。
間違っても今この駄文を読むのに使ってるその機械じゃありません。

 大きなお世話ですが、活字を読む習慣のない方はフランソワ・トリュフォー監督の「華氏451」をツタヤで借りて観ると人生が豊かに変わると思いますよ。

 自分が持ってる中からしか選べませんが、一般陶磁器を作るのに役立つおススメの本を紹介したいと思います。

 初心者がこれからのし上がるために選ぶ基準は、
「部分部分にとらわれず、やきものの工程の全体をバランスよく冷徹に知ることができること。死ぬまでずーっと勉強になって、いつ読んでも、どっから読んでもためになるやきものの本」

 近頃の情報化社会、「あー、今はいい本がいっぱいあるからねえ。ネットもあるし。俺たちン時は・・・」みたいな話になりがちですが、このジャンルにかぎって言えば駄目ですね。概論的なものはとっくに持っているので本屋で探すってこともあんまりないんですが、これ一冊ってのは少なくとも趣味本コーナーにはほとんど見たこと無いですね。入門とか初心者とかついてるようなのは、教室入るような人はほぼほぼ一週間で飽きます。イケアのカラーボックスおまけの木ネジで組み立てて「D.I.Y.(はあと)」とか言ってるに等しいレベルのも多いです。

 今回紹介する本もざっとアマゾンとか言う便利なサイトで調べたらほとんど絶版みたい(中古も超インフレ価格。どこの国だ!クソ業者が!)なので、本屋で直接出くわすか店員さんに出版社に連絡してもらうか、産地のブックオフなど足繁く通うしかないかもですが、見かけたら目を通して価格次第ではレスキューしてやってください。(昔、囲碁の名本が大量に古本屋に並んでて大人買いしたんですが多分近所のおじいちゃんが・・・)
 
 図書館で見つけたり方法はいろいろあるはずです。

「超おすすめ」
「見つけたら買った方がいい」
といったサイズ感で紹介します

では、鉄板の第一位は、
「陶芸のための科学」素木洋一著
 永遠の定番で申し訳ありませんが、どれか一冊と言ったらこれですね。硬質に科学的なデータとプロセスを「思い込みなし」に教えてくれます。教科書みたいなもんです。
 なんと自分の場合これは買ったんじゃなくて結婚したらカミサンにオマケとしてついてきました。持ってる人とお付き合いしてみるのも手ですな。
 ちなみにこの素木先生(シラキで変換できない。素人って書いて人を消す)、俺が修行してた所の研究チームのおじいちゃん(俺の先生の一人)の何年か先輩で、よく飲みに行ってたみたい。ダジャレとか面白いことばっかいってる愉快なオッサンだったそうですよ!


一番上に乗ってますね
右の方に見える「陶芸の伝統技法」大西政太郎著
これが二番目におすすめ。アカデミックな記述になりすぎないように説明するのが大変上手で、人柄が出てくるような文章もいい。これも結婚したら本棚にありました。
 釉薬専用なので買うなら二冊目以降ですが、上から二冊目の「陶芸の釉薬」も同じ著者で素晴らしい本です。これは本屋で買いました。

 この二冊のどちらかだけでもぜひ欲しいですね。幸運を祈ります。借りパクするなら友達から、図書館からしてはいけません。

 一番右の方に見える「陶芸の技法」田村耕一著もいい本です。誰もが知るビッグネームですが日本のいわゆる陶芸家が書いた総合技法書では珍しく、かなりいいです。これはどっかで100円でゲッツしました。人間国宝の作品100円でゲッツですよ!!

 「釉から見たやきもの」「土と石から見たやきもの」芳村俊一著
 これはやきものの原料、素材ってのはどういうものかの根本を叩き込んでくれる超良書で、なんとなくわかってきたつもりになったときに読むと頭カチ割られること請け合い!この二冊を面白く読めない人は本当の意味のセラミストになることは一生無理です。少々立派になったところで「これは何焼き」って聞いてくる樟脳臭いオバハンに「俺は穴窯で1300℃で焼いてるから他所よりモノがいい」なんつってどこからつっこんでいいものか途方に暮れるようなフカシを入れる作務衣姿のひげオヤジがせいぜいです(結構実話)。
ちなみにこの二冊も結婚したら(以下略

 左の方にある新書サイズ「入門やきものの科学」田賀井秀雄著も素晴らしい本ですが、新書なせいと、分量的な制約もあり、ちょっと食い足りないところがあるかな。これも結婚したら(以下略
 
 あと入手不可能なんですが、「窯業操作」窯業協会
セラミックス協会になってからほぼほぼ一般陶磁器産業部分がなくなっちゃってるんですが、窯業協会のころのものだと幅広過ぎですが、それこそ業務にまつわる全てを網羅してる感じの良書多しです。仕事にする気ならあって損はないです。窯屋とも電気屋とも煉瓦屋とも材料屋とも話ができるようになります。

「POTTER'S BOOK」Bernard Leach著
自分は原著で持ってるんですが、中古なら日本語版もあるようなのでおススメします。大西本やシラキ本(変換できない)その他の定番本の随所にここから持ってきて記載、検証したと思しき部分が多々あります。大物陶芸家の書いた総合書では間違いなくさすがの金メダルですな。

「現代陶磁の彩飾技法」素木洋一著
 装飾にかかわる部分の本。前書きで「粘土細工の本じゃないしそんな本は腐るほどあるので経験積まないとできないような手業、要鍛錬の部分はバッサリ省きます。素地、釉、顔料の調合やその製作過程で出てくる欠陥の対処法の解説です」(意訳)って言いきってるところがすごい!面白い!
「セラミックスを考える」
 これもシラキ先生。この人は何しろお茶碗と土管と希土類酸化物焼成体をそれぞれ別物とは全く思ってないところが凄いし面白い。直接いわゆる陶芸とは違っててもめちゃめちゃためになります。技法書、解説書じゃないエッセイ本なんで今回紹介するなかでは人生が豊かになるかもよ?の本です

「複製技術時代の芸術作品」ベンヤミン著
 やきものの本じゃあないんですが、こんな時代やさかいものつくり人なら読んどきまひょって感じ。美大生などには必読のテクストみたい。面白いし考えさせられます。

「基本手筋事典」藤沢秀行著
 佃煮にするほどある囲碁の本中で個人的には最高の名著。とはいえ山下敬吾の新版は読んでないんであれですけど(今写真見てたらなぜかささってるんで書いときました)ただし真似してしくじったことも多数。手筋じゃなくて手筋っぽいだけの筋違いだったみたい。

「陶芸の釉薬入門」Eクーパー、Dロイル共著
マル外モノですが、これも圧倒的おすすめ本。入門気分では読み切れないと思いますが・・・外国の本は文章のそこここに差し込まれるアメリカンジョークがジワジワ効いて来ること多し。イギリスの本だけど。




 その他、わざわざさっきおすすめ本だけ並べたので写真の中の本はどれも一見の価値ありですよ。

その1の結論としては
1、本は読んどけ
2、結婚相手の蔵書も結構重要
 の二点です。

 長くなったんで続きはそのうち・・・
以下に写真だけ紹介しときます。










2 件のコメント:

  1. 初めまして、イノウエセイジさんの所から参りました。
    早速リーチさんの本を注文しました。これを読んで跳満位の上がりを期待してます笑。
    本を読むと目の疲れが早く、寝付きが良くなるこの頃です笑。

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  2. Shima様
    こちらこそ初めまして。
    「教科書」として読めば、古臭さや地味さは気にならないと思いますよ。
    国も時代も違うのでで、それ「日本でいうと何?」みたいなのもありますが、基本は同じなんだなあ~と実感できるころホーテイで上がれます。ドラ付きで。

    ご意見ご質問リクエストありましたらお気軽にコメントください。

    イエーイ、ボブディランからコメントもらったぜ!

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