2018年4月24日火曜日

優しいヤキモノ屋

通りすがりオーダーとか細切れ製作大好き




もちろん数打ちも大好き!




2018年4月19日木曜日

排泥鋳込み超入門 Vol.2 闇ヤキモノ教習(仮

 排泥鋳込み超入門 Vol.2 ということで、スラリーを作ってみましょう。
 今あっさり泥漿のことをスラリーと言っちゃいましたがどっちでも好きなほうで読んでください。同じです。多分。

 確か水分量だか流動性だかが基準で学術的っぽい定義はあったようななかったような感じですが、我々の場合とりあえず坏土(これから成形するぞって段になった生地)としての状態がトロッと流れる原料粉末懸濁液=ドロドロ粘土をこれらのように呼ぶってことでいいんじゃないでしょうか。

 この言葉、素地の場合だけじゃなくて釉薬の場合も使えますよ。粉末釉薬と液体釉薬つって売ってますけど正しくは粉末状釉薬と泥漿状釉薬じゃねえのかなあと・・・、まあもれなくゼリー状、もしくは沈殿しちゃってますけどね。

 無駄口はさておき・・・
鋳込み泥漿の作り方ですが、出発原料から見て二通り考えられます。
 1、今ある土=普段作ってる粘土を水に溶かす。
 2、原料粉末を調合して作る

 どっちがお手軽かははっきり言ってわかりません。まあ鋳込み泥漿つって売ってるものまであるんですね。使ったことないんでわかりませんが、振って濾すだけでいいんだったら楽でしょうね。

 まず、今ある土を使う場合。再生させる時と同じように乾燥させたものを水で戻すやり方は楽だと感じます。フィルタープレスしたものや塊のままのものは案外溶かしにくい場合が多く、ダマが大きいままかなり残ります。

 おすすめは轆轤の削りカスなど。高台削ったりしたときの切子は薄いからすぐ乾燥するし水に入れればあっという間にほぐれます。切子ばっかで2~300gとなると結構な量ですが、とにかくすぐほぐれる状態の乾いたもの。なければ固くなっちゃった塊をカンナでシュルシュルやってもいいんじゃないの?

これはすぐ乾いてほぐれるのでお試しにはうってつけですよ
 
 原料から調合する場合はもう簡単に
 可塑性原料   50%
 長石      30%
 硅石、シリカ  20%
 でいいんじゃないでしょうか。磁器になります。可塑性材料50%は木節とか蛙目(変換できなかった)、○○カオリンでいいです。単独でも混ぜてもいいです。粘土鉱物の違いは水分量とか鋳込み時間に大きく影響しやすいです。粘るほど細かいほど長くなる傾向。粘りすぎる場合は一部、あるいは全部を煆焼して調整可能です。混ぜるんだったらカオリンの方大目がおすすめ。

 本だと粘土50%長石25%硅石25%あたりの調合が基本ってのをよく見かけるんですが、フリー硅石がこんなにあるって釉に影響しないのかな?減らせるもんなら減らした方がいいというのが個人の経験的実感です。珪酸質剥き出しは釉薬はじくよねえ。

 私自身の調合は硅石は10%ぐらいに抑えてアルミナ粉末を入れてます、長石を増やして行けば結構焼成温度は下げられます。カオリンと長石だけでもボーンチャイナ風の透光性のごつい温度低いのが作れるんですが、調子悪い時の高安みたいに腰が甘いんですよね。

 この辺の素地調整に関しては私も知見が甘いのですが、おいおいいろいろやってみたくなってきました。まあ今回は先の調合ということで。

 先にある程度篩って大きいダマをなくし、よく混ぜておくと後が楽です。混ぜ方で一番簡単なのはポリ袋に入れてよく振るのが一番簡単で高性能です。
 
篩って(ここでの篩はザルでも何でもいいよ) 
ポリ袋は膨らませてからシェキロッ!!!
このポリ袋シェイク法はめちゃ優秀な方法です。釉薬でもなんでも振り回せる範囲なら先にやっておくことをお勧め!!粘土の粉は水の中でダマになっちゃいやすいんですが、かなり緩和できます!あのくそ忌々しいベントナイト(通称ベンナイ)もあっさり混ざるぞ!

 原料が準備できたら次のものを用意
1・解膠材、水ガラス(ケイ酸ナトリウム)その他
 解説は省きますが、うちは仕事の性質上水ガラス使ったことほとんどないんですけど、なにしろ解膠力はピカ一なのでこれがいいでしょう。材料屋で買えるしね。なんか番手があるみたいですがすみませんよくわかりません。

 解膠材って何?ってことですが、要はその材料(粘土)に適した界面活性剤です。粘土の粒子と粒子の隙間にまで水分を回り込ませることで流動性がスムーズになって結果水分量が下がります。これは結局どういうことかというと素地の粗密や水分量、結合の圧力などなどがいい方に均一化されるということですね。
 まあ、とにかくこれを混ぜると鋳込みでモノ作るのがやりやすいってことです。

2・#60番程度より細かいの篩(60目でもいいです)
  #100もあればベスト
 
3・ビー玉と1L用広口瓶
 このサイト屈指の人気記事で紹介しました。
 ビー玉は広口瓶の三分の一ほどの嵩で、できれば径の小さいほうがいいです。
 遊ぶ用の普通サイズ(15~6mmですかねえ)でもOK!

4・ペットボトル
 保存容器ですね。広口瓶にそのままでももちろんOKです。

5・あとは秤

 では、水と解膠材の量ですが、
 考え方としてわかりやすいのは原料の乾燥重量に対して解膠材の有効成分量の割合を決めておいてあとは水分だけで調整する方法だと思います。
 とりあえずなぜか解膠材は有効成分量で0.3%~0.5%ってのが多いのでそれで決めましょう。(ところで水ガラスってどろんとしてますけどあれはなに?本来は粉末なんですか?よく知らないんだよな済みません。こないだ実験してドロっとしたまま全量計算してうまくいったのでそれでいいや。)
 原料の乾燥重量300gに対してなら1gの水ガラス、と。

 水分量ですが、とりあえず35%あたりから始めましょう。
 乾燥重量300なら105gの水。
 105gの水に1gの水ガラスを溶いてよくかき混ぜます。

 正確にはこの水分量解膠材料に関しては原料粉末の重さ自体ではなくて、配合された成分や特に粒径の細かさ(総比表面積)によって変わるってのが理解としては正しいんですが、そんな数字がわかったとしても結局やりながら詰めてくしかないと思います。

 この解膠剤入りの水に原料を入れてしばらく置きます。しばらく置いたら棒や薬匙的なものでかき混ぜます。頑張ってかき混ぜます。生クリームと逆でだんだん馴染んで重めの液体になっていくと思います。このなめらかな感触は大事なうえに気持ちいいのでぜひ経験してください。
 水面もただの水に粘土溶かした時とは違う感じになるのがわかると思います。

 いつまでたっても粘土の塊なだけ、バサついてる、って場合は水を少しだけ足します。少しってのが大事。5gぐらいづつで。水は40~45%あたりまでにしてください。それでも調子が悪い時は解膠材を増やすんですが、棒の先にちょっとつけてその棒でかき混ぜるって感じでいいです。
 解膠材が多すぎるのも水が多すぎるのも具合悪いんですが、どっちかっていうと解膠材が多すぎる方が取り除きにくいのでたちが悪いかな。
 
 どんどんトロトロした液体が増えてきたと思います。大変だったらこの状態でゴミが入ったり、水気が抜けないように袋にでも入れて一日ほっぽっておくのもアリです。
 

 ほぼ液体になったように見えて、たまに混ぜ棒を上げると先の方にダマ粘土がついてるんじゃないかと思いますが、少しづつ溶けるのでよく混ぜます。
 いい加減あんまりダマはないなあ、少なくなったなあってところで篩を通すと結構米粒程度のダマ玉がたくさんあると思います。
 そこでそのダマダマと越した液体の半分をビー玉の入った広口瓶に入れてシェイクします。
 おすすめの方法は「マルセイユルーレット方式」
こうしてウリウリ動かします。
ちなみにわたくし、ジダンと同い年です。
奴が頭角を現したころ(20代前半)あまりの貫録の違いにビビりました。
マテラッツィにヘッドバッド喰らわした時よりビビったもんです。

 じゃあしばらく頑張ってください。

 私はちょっとトイレ行ってきます
俺なんかこうだもんね!

 気が済むまでで結構なのでいい加減やったら取り置きした半分もビンに入れて「カクテル」のトムクルーズみたいにシェイクしてください。髪型までマネしないで結構です。変な髪形してるのはカクテルじゃなくて「ハスラー2」の方なんで。 
ここまでやる必要はなし
 
 シェイクしたらもう一度網で濾しましょう。ダマの量を見てもう一回やるかどうか判断してください。

 これで泥漿はでき上がりです。
 と、言いたいところなんですが、これがバッチリ使えるかどうかは別。
 なんかでチョット掬ってその滴を石膏のヘリにでも軽く置いてみてください。
 
 こんな感じに表面張力で盛り上がるくらいが濃度として適切なことが多いです。
 あんまりダラーと広がったりした場合は、水分が多すぎるか滴の量がデカすぎですね。
 また水気が吸われていく様子をよく観察してください。理想はちょっとへこむぐらい。ぺったんこになってしまった場合は水多すぎ。 
 とにかくこれが着肉の理屈を肌で実感した瞬間かな?
 全部乾いたらもう一度二度やってみましょう。

 乾いた滴の玉を横からヘラか何かで軽くこじってみてください。大した力も入れずにポロっと取れたらおめでとうございます。成功です。
 10分以上たっても綺麗にはがれずにベチョベチョになる場合、これは解膠材が多すぎだと思います。乾かす時間を長くとることで対応可能かもしれませんがのちのハンドリングがしにくい素地になること請け合いですので、原料を倍にしてやり直しましょう。(同じ量だけ足せばよい)

 だいぶ乾いてるのにはがした後に薄皮が残っちゃてる場合、ちょっと難しいタイプの失敗かも知れません。これは水分が多いか、解膠材が少ないか、いろいろ判断が難しいです。とりあえず解膠材が回ることで改善する余地があるので一日二日そのままスラリーを置いておいてください。

 とにかくこの日は鋳込み成形自体はせずに明日以降にします。そっちのがスラリーになじみが出て具合がいいので。なれてくりゃすぐに判断ついて鋳込んだりできるんですけどね。 

 個人的な経験から、スラリーの見た目で上手くいくいかないがなんとなくわかる見分け方があるんですが、
 1・ちょっと時間経つと水面に上澄み水があるような感じになる。
 2・水面がなんかダボダボしている。言葉じゃ説明しずらいなあ~!
 3・やたら水っぽい、シャバシャバしてる

 これらはあんまりよくないです。排泥した側の見込みになる面が波打つ可能性が高いです。 
これは肉が厚すぎたせいなんだけどこんな感じになっちゃう。



良い兆候としては、
 4・注いだりスプーンですくってチョロチョロと細く落とした時につーっと切れ目なく流れる 
写真使いまわしですがこんな感じ

 5・水面が鏡のようになっている。具体的には窓とか蛍光灯がピシッと映る。 
太陽だけど


これならまあよしでしょう

 あたり参考にしてみてください。具体的にどう調整していくかってのは経験で(ごめん)

 最後に、鋳込み泥漿で一番大事なのは、

「綺麗に離型するかどうか」です
 これがなってないとせっかく作った型までが痛んじゃうんですよ。石膏型捨てるのもめんどくさいので使いべり以外の理由でゴミにするのは避けましょう
 
 鋳込んだものがガタガタでも手仕上げで作品化は可能かもしれませんが外れねえんじゃしょうがねえからな!

 とにかく離型するかどうかを確認するまで本チャンするのは控えた方が賢明です。

 次回は実際に鋳込み成形してみますのでお待ち~
 
 頑張っても駄目だったスラリーがあってら、捨てないで貯めておいてください。もったいないし、これはこれで接着ドベにしたり、化粧土に使ってみたり、調合から逆算して原料を足せば釉薬にするなど、別の使い方で活かしてやりましょう。釉薬泥漿にも解膠材は有利に働くことも多いですよ(ナトリウムの存在、ドボツキを抑える)
 また、もっと流動性のない鋳込み方法、しかもまず一般の作陶家はやったことのない方法も後々紹介します。
 
 相変わらず擬音ばっかりの無駄口の多い記事でしたが役に立ったとしたら幸いです。

 また尻馬に乗って「弓と針、使う?使わない?あなたはドッチ派?」なんつって写真まで用意したんですが、広げるのが難しかったので保留しました。

ハリ(使う方)

由美(少なくとも轆轤じゃ使ったことないなあ)


 




2018年4月17日火曜日

SiC加工版

 SiC(エスアイシー)は、炭化珪素、シリコンカーバイドですね。
 カーボランダムっていう言い方のが通る会社や業界も多いみたいです。棚板なんかはなんかカーボランダムって言っちゃいますね。アルミナ粉末粒のことをアランダムっていうところがあるのと一緒で商品名だか初めて作った会社の名前だからしいっすよ。ホチキスとかといっしょみたい。

 焼結体の製造方法にいくつかあってそれぞれ特性が違います。導電性を利用したりと用途も普通のセラミックスに比べてバラエティありますので一概には言えませんが、 一般的に耐火物としての強さ、例えば耐火度、熱間の強度、持ちの良さ、なんかでいうと値段に比例するじゃないかなーって感じです。値段はもちろん製造法に由来です、多分おおかた。メーカーやグレードによって合う合わない、足りる足りないが他の材質より差があると思います。

 自分はSiCスペシャラーではないですし、製造法や各結晶構造の差による違いを説明できるほど頭の中整理しきれてないので細かい解説はここではしませんが、これはクレイボンドの反応焼結SiCになるはずです。
 


 ちょっと前にイノウエセイジさんにSiCは1200~1300℃程度までなら落っことさない限りほぼほぼ永遠に持つんじゃね?みたいなこと気軽に言ったんですが、陶芸用品の棚板は自分の知ってるのよりちょっと安いのが多いですね。薄いからかな?

 アルミナコーティングされてるのが多いのは釉薬漏れちゃった対策ですよね?(ほかにも本来的には焼成物との酸化還元反応をカットする意味も多分あるし、噴出したガラスが焼成物につかないようにする意味もあるんじゃないかと思います)
 しかも普通の日本の陶芸屋さんはガチの真磁器なんかやりませんから温度もせいぜい1300前後。ということは製陶材料屋さんで扱ってるのは、それで足りるレベルのグレードなのかな?わかんね。

 クレイボンド等の酸化物で反応焼結させたSiCだとマトリックスの材質や量によっていろいろあるよね?とちょっと思い直しました。この辺のは製造メーカーやそのグレード、購入した店がそのどれ取り扱ってたかによって結構違うと思うんで大雑把にひとからげに言ってしまってすみませんでした。

 



2018年4月15日日曜日

土を知っとこう 本焼成後 その2 闇ヤキモノ教習(仮

    前回までのあらすじ
 四月になり陶芸教室に通いだしたパチーノの楽しそうな話を聞いて、なぜか面白くない俺は、本焼成後、工程の各段階で重量、寸法を計測したテストピースから収縮率や割り掛け、減量分を割り出して記録。むしゃくしゃした気分のままテストピースを水の中に叩き込んだ。

 本焼成後第二部として、重量、寸法の収縮に関する以外の素地の性質を知ることにします。

 大まかに言って吸水、気孔に関することになります。セラミックの計測には他にも各強度や導電性に関することなど結構いろいろあるんですが、この「闇ヤキモノ教習(仮」では、いわゆる「陶芸」として製作される陶磁器を作る使う際に知っとけばいいことに絞って簡略化します。(はじめ日常生活って書いたんですが、それだと便器や洗面台なんかの衛生陶器とかも入り込んできて話がこんがらがるので)

 相変わらず例によって、「必要以上に理屈っぽいくせに根本的にバカ」という普段話してて一番めんどくさい類が書く説明文ですので、私としてはメチャンコ気を使って書いてますが、明らかな間違い、ミスがあった場合はすぐに訂正しますのでポッタリーサイトパトローラーの皆さんよろしくご指摘ください。

 では吸水率の求め方。
 1・テストピースを沸騰したお湯の中で3時間以上煮沸します。でも面倒だしエネルギーロスですので、前回最後にやったように水の中に浸けておいてください。丸一日以上はやったほうがいいかな?「鍋物にでも入れておけ!」というネタも昔あったんですが誰かやったって話は聞いてません。

 丸一日の理由ですが、一日経って平気だったのに三日経ったらテーブルが濡れるほど水が漏ってたってなんてことは今まで気が付かないのでまあいいんじゃねえのってことです(あり得るかあり得ないかでいえばあり得そうですが・・・)

 2・水中から出した濡れたテストピースを布で拭きます。乾布だったかよく絞った布だったか忘れましたがどっちでもいいや。
 とにかくビショビショではない状態のテストピースの重量を測ります。この重量を乾燥重量に対して「飽水重量(給水重量)」といいます。今回は何かとあやふやなんで「一応飽水重量」とでもしときますか。
 厳密に知りたい人、測りたい人は三時間煮沸している間に「耐火煉瓦の比重試験」かなんかでググるといいですよ。時間があまったら10~15万円持って理化学用の電子天秤を買いに行きましょう(どこにだ?)
 実は、ガチの乾燥重量は三時間以上煮沸後に百何十度の中で乾燥させながら一定の時間おいて目方を測って何回か連続で重量の変化がなくなるまでやるんじゃなかったかな?でも一般的には窯出し直後に測ってると思います。

(飽水重量ー乾燥重量)÷乾燥重量×100が吸水率ですが、飽水重量÷乾燥重量から1ひいても多分変わりません。

 このシリーズで使ったテストピースの「一応飽水重量」は、
 1230℃焼成品、乾燥重量36.0gに対して37.5gでした。
 よって上の式から吸水率は4.16%
 
 同様に、1260℃焼成品は乾燥重量20.0gに対して20.4g
 吸水率は2%です。

 まじかよそんなに変わるのかな?どっかで失敗してるかもね。

 まあとりあえず以上が「一応吸水率(そんな言葉はないですよ)」の計測法です。

 皆さん、これ意味あんの?見込みの水が漏れなきゃいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、まあ確かに液体が入る器ものなら、その通りかもしれないですが、水を遮断することは素地の絶対の役割ではありません。たとえば植木鉢なら液体もガスも必要なだけ通さなきゃいけないですしね。
 
 なにより自分の製作品の吸水率答えられないよりは、「たまに検査するんですが、これの場合大体3%~5%です」とか答えられたほうがよくないですか?

  

 まあとにかく本焼成された焼結体素地の気孔の状態を断面図にしてこれ以上ないほど簡潔にCGにしてみましたのでご覧ください
CG=ただペイントで書いた図


 計測する目的や立場、またどこまで精細に調べるかによって、いくつか別な言い方や語釈、定義もあるかと思いますが、とりあえず素地中の気孔はこのようになっています。
 また、この図だと勘違いしそうですが、これらははっきり目で見て見えるほど大きいとは限りません、というか普通違います。まあそういうのはスとかピンホールですよね。もちろんそれらも含めます。

 1・閉気孔(密閉気孔、独立気孔)
 素地の中に密閉された大気とは遮断された気孔。よってこの中には水などが容易に浸入することはありません。飽水重量には無関係。 

 2・開気孔(解放気孔)
 素地中から大気とつながってる気孔。ここには水が入り込みます。

 3・貫通気孔
 気孔が繋がって反対面まで続いちゃってる気孔。もうお分かりのように水が漏れます。開気孔の一種ですね。この貫通気孔と2番の開気孔に水を含んだ状態がさっきまでの飽水重量になります。

 気孔同士がつながっている状態は連続気孔っていうんですが、貫通気孔とは限りませんね。完全に密閉された独立の連続気孔も構造上あり得ます。

 これらが焼成温度(というかかかったカロリー)、成形坏土の粒子間の粗密、そもそも組成や調合(土の種類だね)、だったりで変わってくるわけです。これらを自分なりに分かったうえで、何を作るときにはどの土をどうしたらいいかってことを考えられるようにすると、まあ結果大した変わんなくても一段高次でモノを作っていることになるんじゃないでしょうか?
 「神は細部に宿る」という言葉は、形や見た目のことだけじゃなくて思考の中にもぶち込んでおきたいよね~。特にオレ正確超雑なんで。

 とまあ、エラソーなノーガキ垂れましたが、ごく日常的な問題としては多くの方にとって、「貫通気孔は中身が漏っちゃうじゃん。どうしたら防げるの?」ってことですよね。
 それについては「素地の特性を測る」こととは別の話、私もそろそろ朝鋳込んだるつぼの離型の時間ですので別の機会に譲ります。
 「よく考えて上手に作れよ!」という心底無責任な一言で締めたいと思います。

 「土を知っとこう」という意味では、成形のしやすさ、乾燥歪、焼成歪の出やすさ、掌でクリクリ紐うんこ作った時の切れにくさ、どのぐらい乾いても化粧掛けてクラッシュしないか、などなどありますが、そこらへんは成形に関する個別の都合ですし、俺にここでなんか言う知見はないので置いておきます。めちゃ重要ですけどね。  

2018年4月12日木曜日

土を知っとこう 本焼成後 闇ヤキモノ教習(仮)

 四月になってパチーノの教室も始まったらしく、とってもウキウキしてるみたいです。パチーノが初心者すぎて何のこと言ってるのか俺にはわかんない部分もあるんですが、なかなか明るくて開放的、しかも理性的な教室らしいですよ。老いも若きも先生も仲良いし、協力し合ったり優しくいろいろ教わってるみたいです。よかったね!!チクショウ、なんか面白くねーな!

 私の妄想教室では、このあと「暴力教室-バトルロワイヤル-2018」(架空のタイトルですよ)みたいな話で進めようと思ってたんですが、やる気なくすなあ。
 「危険だって言ったでしょ!」とかヒステリックに叫びながらタタラ作るプレスローラー(プロレスラーじゃないですよ)で手潰したり、ろくろで回ってる土の山に指先突っ込んでグシャグシャにするシーンとか、色味孔覗いてるところにガスのバルブ全開するファイヤーアクションとか用意してたんですけど(コイツ=オレは何をしたいのか?な文章)


 それはさておき
 ようやく「土を知っとこう」シリーズの完結します、

 素焼きしましたよーつってから、もうほとんど一月経ってますね。間延びしちゃってすみません。

 とっくに本焼きも済んで、計測してあるんですが、わかったところでなんかに何の?ってところや、それ普通は測れません、みたいなところ等あり、また、細かい定義や呼称に私自身の認識のあやふやさがあり、明解に説明できず、まとめ切れませんでした。

 とりあえず作陶する上で重要な部分に絞って、知っといたほうがいいことなどをざざっとまとめてみたいと思います。

まずは写真とデータを並べます
土は、近所のホームセンターの陶芸コーナーで5キロ300円ぐらいで売ってた安いやつです。
成形直後
右は切り出し、49.6gの目盛りは100㎜
左は型に詰めたもの、37.5㎜角で27.3g

乾燥体(完全ではないですが)、
左、22.0g、35.4㎜角に
右、37.5g、95.0㎜に
この段階で約5%乾燥収縮し、
重量は水気が飛んだ分20~25%減ってます。ホントかな?多くね?

850℃(100℃/h)キープ無し、窯出し直後
寸法はどちらも変化なし。
重量は、さらに減って、36.0gと20.0gに。

 乾燥収縮後素焼き程度の温度では収縮しないことがわかりました(少なくともこの土は)
 重量の変化は、多分三つの要因
 1、用語的に紛らわしいんですが俗にいう結晶水(詳しい人に聞いてね)のような組成の中に化学的に取り込まれていた水分、水酸基の分とかそんな類含む、とにかくただ自然乾燥させてもなくならない水分が減ったこと。
 2、分解されて揮発、ガスになって飛んでっちゃう分。炭酸化合物が炭酸ガスと酸化物に分解されるとかおもに炭素分だと思います。ほかにも7~800℃までで分解したり飛んでっちゃうのってあるんですが、素地中の出来事として具体的には判断つかないんで割愛したいところ!
 ですがたとえば、石灰石(CaCO3)はメーター読み800℃前後あたりからCO2とCaO(カルシア、酸化カルシウム)に分解されます(目方で半分近く減るはず)みたいな感じで覚えとけば、少なくとも当たらずといえども遠からずじゃないでしょうか?
 3、有機物が燃えた分。まあゴミだけでなく、土なんで燃えるものが結構入ってるってことですね。(ただし残留炭素はもっと高温度でも意外に残ってるものだったりします)


 このように熱がかかった時に分解したり焼け飛んで減る重量のことを強熱減量とか熱灼減量といいます。この用語も相当カッコいいんですけど、もっとカッチョイイ言い方にイグニッション・ロスというのがあってなんとなくジェイソン・ステイサムが大暴れしてくれそうでイイですよね。

 お話ついでに
よく読むと面白くてためになりますよ!!
古い本なので普通に結晶水って書いてありますね

これはある原料のミルシート、分析表です。
このメーカーはIg-lossという表記です。
MAX1.2%まで許容範囲、今回の分析値は0.44%でした。何℃だかわからんけど



ちょっと話がうんちく方向に飛びましたが、本焼成後の測定結果がこちらです。

右が1230℃30分キープ 100㎜の目盛は結局89㎜に、重量変化なし。
左は1260℃30分キープ 平均値33.0㎜角、重量変化なし。

この段階で、収縮率、割り掛けが立てられます。

1、100㎜が89㎜に縮みました。
 100-89÷100×100=収縮率11%
 100÷89=割り掛け1.123

 つまり1230℃で100㎜に焼きあげるためには、作った瞬間の寸法を112㎜にすればよい!

2、37.5㎜角が33.0㎜角になりました
 100-33.0÷37.5×100=収縮率12%
 37.5÷33.0=割り掛け1.136
 
 つまり1260℃で100㎜に焼き上げるには113㎜に作ればよい。

 もちろん毎回毎回ぴったり勘定通りにはいかないもので、特に湿式の可塑性成形はそうです。つまり普通の作陶のほぼほぼ全部なんですが、これを実感として知らなきゃ作りようもないですから、カタログ値は分かっててもやってみるといいですよ。水分量、練りや締めの具合がかなり影響しますよ。粘土屋さんも何%~何%みたいな数%の幅のある表記しますよね。

  このように、各工程ごとに採寸、計測してその収縮の程度を調べておくといいですよ。特に乾燥収縮を把握するのは意外とやってないかもしれません。



 次に何をするかですが、吸水率を測ってみましょう。これも実感として知っといたほうがいいんです。というところですが、思いのほか長くなっちゃったので、そんなつもりもなかったんですが、完結篇のくせに二部構成にして続きは次回にしたいと思います。

 とりあえずテストピースを水没させてお待ちください。

 本当は3時間だったかな?煮沸するんですが、こうやって沈めて一日おけばいいと思いますよ。




問題はこの土の名前をよく覚えてないってことぐらいですかね。

2018年4月10日火曜日

ビーズというか小粒

 反応試験のテストピースになる、支給原料でのビーズ製作。
 今後多少大きくなる可能性はあるものの、まだまだ試験の初めの初めの段階。とりあえず塊に焼成できればOKということで、癖悪の複合材料ですが、ディスカッションの末つくばセラミックワークス15年の歴史上もっとも原始的な方法で制作しました。
 
孔も開いてないですけどビーズ

 この前の肩凝ったーみたいなのは前フリだったんですよ!

 どう原始的かっていうと、このミッション担当の院生さんの「あ、俺ハナクソ丸めるの得意っすよ!」という、国立大理系のエースとはとても思えない極めてアプローチャブルな発言を参考にしてください。



2018年4月6日金曜日

天目問題! 写真の撮り方教えてください。 闇ヤキモノ教習(仮 番外編

 このブログ式ホームページをちょっとでもご覧になればわかると思いますが、私は写真に対するテク、知識がさっぱりないんです。そもそも写真撮る習慣すらなくてもっと言っちゃえば興味がないと。まあ自分でも写真だせーなあってのはわかってたんですが、作った製品の紹介をガラケーで(今はスマホですが)パシャッとやってるだけでひどくピンボケしてなきゃわかればいいと、そのレベルです。
  
 何が言いたいかというと天目釉の写真が撮れません。
以前記事にもしましたが、当家のロックな天目釉が復活してやっぱり自分的には最高だったんですよね。

 まあ前から黒っぽくて光沢のあるものはちゃんと写らないなあ、ってのはわかってたんですが、天目釉は本当に駄目ですね。

 たとえば黒いマグカップを置いていつものようにスマホを構えます。画面でピントとか確認しますよね?なんか変なんですよ。
 周りが真っ白に光ってボケボケになったり、白とか青の太い線が器にピカピカしたり、反対側の景色が写っちゃったり、それとこれだけは本当に不思議なんですけどなぜか真ん中にメガネかけたブラッド・ピットがこっち見てるんですよ?もちろん周りには私以外誰もいないのに。何?オカルト?出演料払えないっすよ。

 こんな感じです
 
まわりが・・・また色見もちがうんですよ
フチの茶色はもっと赤っぽいの、カッコイイの
黒ももっとエロいの

これブツを真正面にすると何故かブラピがクッキリと!
しかもこれじゃただの真っ黒

だからこの真ん中の白いのは・・・窓?


 とまあ、こんな感じで、いつもと大した変わりねーじゃねーかって気もしてきましたが・・・。
 写真撮ってパソコン画面なんだから多少色味が変わって見えるとかはしょうがないのはわかってます。でも天目釉はとにかくほかの釉と比べて全然本物に似てないんですよ。



 今回は「逆」闇ヤキモノ教習(仮、ということで、天目釉を上手に撮影する【サルでもできそうな】方法をご存知の方は教えていただけたら幸いです。

 カメラはアイフォン7のみです。立派な機材を買い足すのは一つも考えていません。多少の自作は問題なし(多分)

 写真好きな方って多そうですし、SNSやHPなど見てるとこういった黒光り物件も上手に取られてる方多いですもんね。自慢のKUFUお待ちしております。まじで。

 アドバイスくださった方(がもしいましたら)の中で、「SiC粉末を釉薬にちょこっと混ぜると酸化焼成でも辰砂とかできるらしいぜ!」、あるいは「SiC混ぜるとルーシーみたいなボコボコになるらしいぜ!」に興味がある方がいらっしゃいましたらファインセラミックスグレードのSiCサブミクロン微粉(他にも粒度あります・・・)の余りモノの小分けですが差し上げます。そこそこ高価ですし、なかなか買おうと思うまでに至らないと思うので。まあ自分は今後試す気ほとんどないです(やったことはあります)ので、代わりに楽しく実験してください。

 ちなみに問題のつくせら天目釉、通称「バーフバリ天目」の調合ですが

 長石    43
 石灰石   16
 カオリン  12
 シリカ   22
 酸化亜鉛    2
 酸化第二鉄 8~9

 となっております(量るのは結構雑です)
 全部で100じゃねーじゃねーかとかいろいろありますが、まあコマケェこたーいーんだよ。なんかこうなっちゃったの。

 うちの場合、長石はほぼほぼ福島長石、カオリンはニュージーランドハロイサイト、石灰は炭酸カルシウム、シリカは電融シリカ、酸化亜鉛も含めて、長石以外はファイン用材料(の余りとかこぼしちゃったとかそんなの)で高純度ですが、まあ調合自体特殊じゃないし、電気炉仕様のピカピカ溶かし焼きですのでお手持ちので代用できるでしょう。そんなシビアな話じゃないですよ、きっと。
 
 また勉強がてらという感じでゼーゲル式を立てておきます
 うちの材料の場合のゼーゲル式(ほぼ多分)です
 KNa2O  0.28
        CaO  0.62     Al2O3 0.47   SiO2  3.68    
        ZnO  0.09     Fe2O3 0.22
といったところ(だからほぼ多分)
 シリカアルミナ比で7.82ぐらい

 ゼーゲル6~9ぐらいで、素地の鉄分の多寡にもよりますが、高温だと天目~って感じ強め、低めだと凄く黒い飴釉って感じで、棚の置き場所も考慮に入れればツープラトンシステム(造語)で使えます。鉄っ気の下化粧や上塗りにもいい感じに反応してくれます。
 糠系(シリカリッチ系)の乳濁する釉を上掛けすれば、ナマコっていうかトンカツ屋っぽくできますし、他の釉の上にこれが薄く上掛けされてもひどいことにならないので「境目のぼんやりした禾目感フェチ」の人にもおすすめです。
 まあ全部たんなるおれの好みですけど。

 で、どう美しいかっていうのを是非紹介、おすすめしようと思ったんですけど、なぜか写真が撮れないんですよね~
 


 



     



2018年4月3日火曜日

小さ~いるつぼ

 高純度のアルミナるつぼですが、メチャ小さいです。
 過去にはこれよりもっと小さいのも何回か作ってますが、このぐらい小さいと小さい用の気をつけるポイント、もしくは変更点ってのが、各工程で通常サイズ(ってのも変な言い方ですけど)とは別に発生するんで、しくじるとオジャン(死語)なんですよね。

 だからものすごく楽しいんですが、

 これを200個以上作ると肩凝りで死にそうです。いまここ
 
 過去最高の細ちっこいるつぼは、外径2㎜高さ3㎜ってのが記録。ユーザーの学生さんがセッティングの際クシャミしていくつか無くしたといういわくつき。
 記録の更新は特にいまのところ狙ってませんが、ご相談いただければもちろん考えます。





 
ブラックパンサーことティチャラ国王が!(ネコですよ

 視線の先には・・・
ホ、ホークアイ!!(カラスでしょ


まさかうちの畑でシビルウォーとは…



2018年3月30日金曜日

排泥鋳込み超入門 Vol.1 闇ヤキモノ教習(仮

 いつだか作った石膏型もとっくに乾いてるんじゃないでしょうか?そろそろ出番としましょうか。知らないよりは知ってた方が絶対いい「鋳込み成形」そのうち「排泥鋳込み」を軽く体験してみましょう。ということでシリーズ化します。

 まあ排泥鋳込みにかかわらず、とかく鋳込み成形というものは舐められがちなんですよね。工業的生産効率は低いほうにもかかわらず、一般陶磁器、とりわけろくろ成形主体だったりする作家的な小工房の方々や教室的立場の方々からはやたらと産業的で非工芸的と見られてる気がします。なんなら馬鹿にされてる気が・・・ロクロだって産業的効率の結果だと思うんだけどな~(被害妄想的文章ですが)

 で、話してても鋳込み成形なんてちゃんとやったことないであろう人に「え~、鋳込み~?」なんて言われるとさすがに温厚な私もロクスッポちゃんと観たことないくせにスタローンやジャッキー・チェン、マーベルの映画を馬鹿にされた時と同じ怒りが込み上げてくるんですよね。「え~。トム・クルーズ~?」みたいな。で、そんなやつにかぎって好きな映画がいまだに「〇〇〇」とかなんですよね。お前それロッテ~大洋の助っ人外人だろ。みたいな。せめてゴダールとか言ってくるのかと思ったよ。まあいいや。ナタリーの出世作だし。 

 また、うちのような昔ながらのるつぼ屋スタイル以外ではファインセラミックス、耐火物の世界でも採用率はかなり低いです。やっぱり効率悪いんですよね。言われたことありますよ。プレス主体のファイン屋さん(部品材メイン)に「ああ、鋳込みなの」って

 とはいえ話を一般陶磁器に限っても高級洋食器や、個人作家でも排泥鋳込みで素晴らしい機能的な器、あるいは見事な美術作品を製作されている方はたくさんいるし、皆さん話を聞けばびっくりするぐらいのKUFUで作ってるに違いないですよ。話聞いたことないですけど。

 とにかく何事も経験です。ロクロもいいけど鋳込みもいい!ベルイマンもいいけどゾンビもいい!アレサ・フランクリンもいいけど欅坂もいい!
 成形法の引き出しを増やしておくことは損じゃないはず。部分的活用や組合せだってありますよ!

 実践編に入る前にざっと排泥鋳込み法とはどういう成形法か?ということを・・・


こんな感じにドロッとした原料を

型に流し込んで(これが鋳込み

ガバッとあける(これが排泥)

型から外すと

肉厚は、こんなに均一ですよ

仕上げたら焼いて

出来た!(わかんないだろうけど

釉掛ければ例えばこんなのとか(写真つまんないけど
と、いった手順です
 何を作るか、力学の制限からはかなり自由なんですよ
  
 次回以降、
 原料のスラリー(泥漿)化とその調整
 成形から仕上げ
 あんまり変わんないけど焼成してモノができるまで。
 と手順を踏んで軽く解説していきます。

 こんなプリンカップじゃ何にもなんねえよ、なんて「まっとうなご意見」はひとまず言わずにやってみてくださいよ。
 
 他のシリーズと同様、相変わらずいつアップするか気持ちと肩凝りの余裕次第(仕事じゃねえのか!)ですけど、まだまだ鋳込みは一般愛好者の方には謎のベールに包まれてる点が多いと思いますので、記事と工程の前後にかかわらず質問、ご要望等ありましたらお寄せください。


2018年3月27日火曜日

シリーズ「石膏でなんかする」 四角く流すぜ板枠編

 コップ状の円筒形、あるいは小さいものなら抜きテーパーさえ一方通行なら以前紹介したやり方で問題ありません。
 しかし世の中には四角いもの、長方形の平べったいものもあるんですよね。円板の上で作るんでは石膏の無駄が多すぎますよね。
 仕方ねえ、四角く作るか…なんてことになるはずです。

「決壊事故」つまり枠の隙間からだだ漏れしたり、最悪枠がパカンと外れて石膏大洪水!というのは、ほとんどの場合板枠を組んで流したときにおこります。

 私が修行してたところでは決壊事故を起こすとヒトデナシ扱いで例えグループのリーダー的な格の人でもお掃除当番させられた上に番付が幕下付け足しに下げられます(ウソです、実際は茶々、罵声にさらされた上にしばらくネタにされます)まあ、そのぐらいダサいこととされています。親方は「こぼした分だってタダじゃねえんだぞ!」なんつってメチャ怒ってましたが、本人はその昔馬鹿でかい複雑なの流し中にクランプすっ飛ばして大洪水起こした事故の犯人だそうですよ。

 ちなみに私の実家は公共インフラメインの型枠大工なんですが(道路高架とか橋とか地下共同溝とか)、この場合は事故死、もしくは切腹ですね(だからウソですよ。結果的に改易ぐらいです)

 とにかく、気を入れてやれよってことです。この石膏シリーズをやる気になったのはネット上でシミジミした情報ないなあ~ってことが理由ではあるんですが(俺だってもっといろいろ知りたいからね)、結構上手そうな人や中には本職のヤキモノ作家さんでも「マジか、そんな枠の留め方で?」って方もチラホラ見えるんですよね。まあできてりゃいいんだけどさ~、結構怖いよね~。

 とりあえず割型の切り方やコツなんかは次回以降に回して、とにかくまずは枠ですね。
 
 最大にして唯一のコツは実は一つです。

 枠は、きちんと作ってしっかりとめること。

 これだけです。

 テキトーな板を立てかけあって紐で結わえて周りに重いものでつっかえ棒のつもり、なんてことはしない方がいいですよ。現場でこんなことしてたら100%先輩の投げた煉瓦の半ペラが飛んできます。

 まず枠板ですが、板のつきあわせの矩が出ていないと必ず隙間が空きますし、ガッチリ止りません。可能な限り上手に切ってください。ある程度厚みがあったほうが何かといいです。(ベニヤ板なら9~12、パネコート推奨です。そもそも型枠用だから)
 







 技も道具もない人は、ホームセンターのカットを利用すればパネルソーで切ってくれるので建具屋グレードの精度が出るはず。カット代も高くないよ。

 えー、今すぐ必要なのに切り口グジャっちゃったの~、のび太君はしょうがないなあ~
 そんなときは適する厚みのPVAスポンジシートを木口に合わせて挟み込めばあらかた大丈夫ですよ!鋸目のガタガタ位殺してくれます。
 
この技は、石膏の膨張に悩まされる割型編でも役に立つぞ!

  PVAスポンジシートはダイソーで売ってました。1㎜、3㎜、5㎜だったかな?使い捨てだし安物でいいよね?名前知らない方でも物を見ればわかりますよ。


 枠の組み方は通常二種類です。
この二通りです。
 左側が基本。この場合正方形ですので、突合せの勝ち負けはどっちでもいいんですが、長短の差がある場合は、できるだけ長いほうが勝つように組みます。
 右側ならフレキシブルに底面の大きさを変えられます。これを長さ、巾(高さになる)サイズ別に数セット用意しとくと非常に便利です。(とかいって半端で使いづらい場合も多いんだけど・・・)

 また

 左は、同じものを何個も何個も作るときには考えてみてください。
 右は、平板状のを縦に流し込むパターンですね。

 どの場合も、底面用の板もあったほうが、枠板の浮き上がりを防げて、枠自体もしっかり止るので一石二鳥。板つくらなきゃ無い場合もったいないのでマイナス一鳥だけど。
 
枠は底板を挟むようにすること。

 

 固定はしっかりとめないと意味ないです。つまり、ハタガネなりクランプを必要十分に使う、大物の一回こっきりならネジ、釘でとめちゃう。とか。固定に関してはやりすぎかもぐらいでもいいんじゃないかと思います。


よく写ってないけど左のはニギニギするだけの楽々クランプおすすめ。
見えずらいけどハタガネも


Fクランプ


Cクランプ、安いけど懐が狭い


 道具が足りないとかで、どうしてもヒモで縛る必要のある時もあるかもしれませんが、その時はよく考えて。イヤミな言い方になっちゃいますけど、ギューッと絞って固結び、しかできない人はやめたほうがいいです。
 そういう場合は、ラチェットの荷締め帯か、強いゴムを使いましょう。自転車のブチルチューブとかトラックのシートを止めるゴムとかがいいですよ。縛り系固定の時は位置決めの桟木があったほうがいいです。
 長いクランプ高いもんね~。

 底枠を作らずに平面にベタ置きする場合は、重しが必要ですが、大きいと、特に高さがある場合はなかなか難しいんですよね。自分は、そういう場合は思い切って釘でぶっつけちゃってます。
 
 というわけで、土練り用の石膏板を作りました。
ちょうどだいたい400㎜角の古いコンパネが転がってたので(仕事板です)
ちょうど合うサイズに枠を切り出し。

釘で固定、離型剤は物置でこないだ見つけたカーワックス
ワックス良いよワックス!

 時間に追われるので撹拌~流し込み中の写真はありませんが・・・ 
 ちょっと盛り上がり気味ぐらいで流し込んだら4~5分後に一回目の面出し(スターマン歌いながら粘性が出るまで十分撹拌した方はそこまでじゃないと思いますが、もし気泡がシャバシャバたくさん出るようならプラハンマーで型枠の周りをとんとんとんとん叩いて気泡を浮かせます。型を直接ではなくて台板をたたくんですよ
 「長い直線を持つ硬い何か」で摺り切りにします。ヨーグルト状のダバダバがデローンっとこぼれるのでその対策もしておきましょう。新聞紙敷いとくとか。こうやって直にウッドデッキでやるとむちゃくちゃ怒られます。一応、直じゃないんだけどな~どうせウッドデッキだって誰もいないときに泣きながら俺が作るんでしょ。
 ここである程度やっておくのが大物の時のコツで、離型してからやろうと思うと案外大変で泣きを見ます。時間もったいない。


固まった~
右の600の鋼尺で面だし、枠を外して

 固まってからやるのは面をきれいに整えることと、バリ取り、出隅の面取り(台鉋でもペーパーでも)だけにしといたほうが楽ですよ。

面取りして完成
全部中古の板だったんで汚れてるけど土練り台だしまあいいや。



大体、40㎝×40㎝×5㎝で容積8000㏄=石膏8キロでした。

このぐらいになるとただ棒でかき混ぜてもダマ無くならないんですよね。

と、いうわけで、男の撹拌は手だから!





奥に攪拌機見えてるじゃねーか